バンクシー展〜天才か反逆者か〜
バンクシー展に行ってみた
人生で初めて自ら個展に足を運んでみた
きっかけはオリラジあっちゃんのYoutube↓↓↓
私は工学部を卒業して建設会社で働いているので芸術の世界とは無縁だが、なぜこんなにもバンクシーの絵が世界中で話題となっているのか不思議で今回の個展に足を運んでみた
概要
場所は横浜にあるアソビルの2階で行われている
2020年8月10日に行ったので2000円かかった
購入は上のウェブサイトからできる
事前にチケットをネットで購入して会場でQRコードをスキャンして入場する仕組み
11:30-12:00の枠を購入しており、その30分くらいしか滞在できないのかと思ったら気がついたら13時を回っていた
入場する際は一定数の人数ごとに入場させており、中が満員にならないように工夫が施されていた
しかし、中に入ってみると多くの人が居てみんな写真を撮っていた
驚きなのはizi.TRAVELというアプリを携帯でダウンロードするとバンクシーの絵にまつわるエピソードを音声ガイドしてくれるシステムがあった
これのおかげで全くバンクシーのことを知らない素人でもこの音声を聞くだけで目の前にある絵に込められている思いなどを知ることができる
バンクシーとは
イギリスを拠点に活動する匿名の芸術家
世界中のストリート、壁、橋などを舞台に神出鬼没に活動している
アート・ワールドにおいてバンクシーは、社会問題に根ざした批評的な作品を手がけるアーティストとして評価されている他、テーマパーク、宿泊施設、映画の制作など、その活動は多岐にわたる
バンクシーの代表的な活動スタイルであるステンシル(型版)を使用した独特なグラフィティと、それに添えられるエピグラムは風刺的でダークユーモアに溢れている
その作風は、芸術家と音楽家のコラボレーションが活発なイギリス西部の港湾都市ブリストルのアンダーグラウンド・シーンで育まれた
謎多き人物かと思いきやGoogleで調べてみると、生年月日や年齢や配偶者まで出てきた
しかし、どのような顔をしているのかは流石にわからなかった
バンクシーの代表作① 赤い風船に手を伸ばす少女
バンクシーと言ったらまず思い浮かべるのはこちらの絵ではないだろうか
『風船と少女』は2002年からバンクシーがはじめたステンシル・グラフィティ作品シリーズ
風で飛んでいく赤いハート型の風船に向かって手を伸ばしている少女を描いたものである
「風船少女」や「赤い風船に手を伸ばす少女」とよばれることもある
初期の作品はロンドンのウォータールー橋やロンドン周辺のさまざまな壁に描かれたが、現在はどれも残っていない
バンクシーは社会支援の手助けをするため、このデザインを何度か変えてさまざまな場所で描いている
ほかに、2014年のシリア難民危機3周年時や、2017年のイギリス一般選挙時にも別バージョンが制作されている 2017年のサムスンの調査で「風船と少女」シリーズは、イギリスで最も人気のあるバンクシー作品の1つであることがわかった
2018年には、ロンドン・サザビーズのオークションに出品された額縁におさめられた風船少女の作品が、オークション中にバンクシーによって額縁にしかけられた機械によってズタズタに切り裂かれた
バンクシーは自身がシュレッダーにかけた責任を負うことに認め、切り裂かれた作品に対して『愛はごみ箱の中に』と名前を付けた
サザビーズは「美術史においてライブ・オークション中に作られた初の作品だ」と話した
その時の映像がこちら↓↓↓
140万ドル(約1億4000万円)ほどで落札されたこの絵画はバンクシーの手によってシュレッダーにかけられたとされている
この騒動でさらにバンクシーの絵画の価値が上がったみたいだ
資本主義に反対のバンクシーにとっては140万ドルという大金ははした金だったのだろう
代表作② Love is in the air
バンクシーは活動初期から現在にいたるまでパレスチナ問題に焦点を当てた作品を多数制作している
本作品はパレスチナ問題を基盤にした初期作品の1つである
2005年に発売されたバンクシーの公式作品集『Wall and Peace』の表紙にもなっている おもに抗議者・プロテストの象徴としてバンクシーは描いており「仮面の脅迫犯」と呼ばれることもある
ただし、男が手に持っているのは火炎瓶ではなく色とりどりの花束である
どんな平和活動でも火炎瓶ではなく花束を投げるような愛がないと平和は訪れないと語っている
代表作③ モンキーハーラメント
英競売大手サザビーズは3日、覆面アーティスト・バンクシーの作品「Devolved Parliament」が、約990万ポンド(約13億円)で落札されたと発表した
「Parliament」は議会の意味
「Devolved」には「権限移譲、地方分権」の意味のほか、「後退、悪化」の意味もある
150万~200万ポンドで落札されるとみられていたが、5倍近い価値がついた格好だ
バンクシーはインスタグラムで、「バンクシーの絵画で一番高い値がついた」、「自分で所有していなかったのは残念だ」と反応した
議員の経費不正利用によって生まれたこのバンクシーの作品は政治に対する不満の高まりとともに登場した
個人的にお気に入りの作品① トキシックメアリー
バンクシーの初期のストリート作品の一つ
初めて展示されたのは2003年にロンドン東部のダルストン地区で密かに開催されたターフウォー展でのこと
同年、バンクシーは作品のスクリーン版画を限定盤で製作した
聖母子像と属人との関係を風刺している
毒の配合されたミルクを赤ん坊に与える聖母の姿は果たして宗教が信者に真の安全をもたらしてくれるのかという疑問を投げかけている
宗教はこれまで多くの戦争を引き起こし、人を死にいたらしめ、文化的不寛容を生み出してきた
その害の甚大さに比べて功績はわずかであると多くの人が考えている
宗教をテーマにしたバンクシーの作品はわずか2点しかない
この版画はそのうちの一つであり、もう一つのキリストをテーマにした作品も今回の展示でみることができる
なぜ、この絵がお気に入りなのかと言うと
日本では宗教間での対立というのは少ないが、海外では頻繁に起きている
それによって多くの人々が死んでいる現状を知って、何のための宗教なのかが分からなくなっている人がいると思ったからだ
平和を第一にするのなら対立なんてするべきではないと思う
対立するのではなく、お互いの宗教を尊重し合えるような世の中になって欲しいと思った
私もある宗教に所属しているが、幸福になるために宗教は必ずしも必要だとは思わない
宗教がなくても人は幸福になれる
しかし、人というのは何かを信じて安心したいという気持ちがあるのだろう
個人的にお気に入りの作品② ナパーム弾
この作品は多くの人から非常に残酷だと思われている
しかし、平和な村に爆弾を落とす方が遥かに残酷だ
バンクシーはベトナム系アメリカ写真家のニック・ウッドによる写真、戦争の恐怖あるいはベトナムのナパーム弾に基づいてイメージを作り上げた
この写真が発表されると幅広い人から反響があった
ついにはベトナム戦争の成り行きにも影響を与えた
ナパーム弾によって子供たちを含む多くの人たちが犠牲となった
9歳の少女キム・フックは燃えている服を脱ぎ捨て痛みで泣き叫びながら走っている
ニック・ウッドは子供たちを病院に連れて行き、キムは生き延びたが17回もの外科手術を受けなければならなかった
キムの両サイドにアメリカ文化と資本主義のアイコンを配した
この写真によって資本主義の注意を促した
ドナルド・マクドナルドとミッキーマウスは少女を救おうとしているのだろうか
それとも逆に恐ろしい結末へと導こうとしているのだろうか
少女の顔には狂わんばかりの恐怖が居座っている
対照的にアメリカ文化のアイコンの顔には微笑が漂っている
バンクシー『この世で最大の犯罪を犯しているのはルールを破る人たちではなく、ルールを守っている奴らだ』
『爆弾を落とし村を虐殺する命令に従う奴らなのだ』
非常に多くのことを考えさせられる一枚
日本でもこの二人は人気だが、その背景にはアメリカいや世界の資本主義の元凶となったシンボルなのかもしれない
おそらく3歳児の子供がこの写真をみたら大泣きするだろう
個人的にお気に入りの作品③ ボム・ラブ
1998年バンクシーは爆弾を抱えた少女を描いた最初のステンシルをブリストルで製作した
無邪気さと純粋さそして戦争の恐ろしさを象徴する作品である
私たちはこの世界を作り出すことができるのになぜ争わなければならないのだろうか
この疑問に答えが出ることはないだろう
バンクシーはこのイメージが気に入り、その後も頻繁に複製した
彼が伝えたかったのは愛は戦争を超越するということである
ここに書かれた少女は巨大な爆弾をまるでテディベアを抱えるかのように抱きしめている
その愛情溢れる腕に包まれればどれだけ巨大な爆弾でも無力化できるかもしれない
つまり戦争には力などなく、ポジティブで正しい行動だけが勝利をもたらすことができるのだ
このステンシルを見ることで戦争の本質も考えさせられるだろう
人々が政府の巧みな言葉に踊らされ、自由と民主主義の約束に裏切られたとしても戦争の根本的な原因は同じである
権力を握るための悪なき欲望である
世界をよりよくしたがる人間ほど危険なものはない
There is nothing more dangerous than someone who wants to
make the world a better place
まとめ
今回のバンクシー展に行ってみての感想は非常に濃い時間を過ごせたということ
私は友人や家族と行くのではなく、一人で行くことをおすすめする
一人だと時間を気にせず自分のペースで作品を見ることができるし、考えることもできる
人生で初めて個展に足を運んでみたが、非常に有意義な時間を過ごすことができた
何よりも資本主義が本当に私たちに幸福をもたらしているのかを考えさせられた
私たちは生まれた時から資本主義の国家で労働と対価でお金をもらうのは当たり前だ
私も東京である会社で働きながら給料をもらっている
そのお金で食材を買ったり、本を買ったり、ジムに行ったりして次の労働に備えて体を維持している
しかし、今年のコロナ渦の影響で経済が破綻している
それは資本主義の影響である
また資本主義によって格差も生まれている
みんな同じだけの時間が与えられているのにもかかわらず、もらっているお金は全く異なる
その格差によって嫉妬が生まれ、争いが起きている
バンクシーの絵画によって資本主義のあり方を考えさせられた
しかし、資本主義が崩壊してしまったら世界はどうなってしまうのだろうかとも考えた
AIやロボットの技術が発展して人間は働かないようになり、ただ堕落して生きていくのだろうか
確かに資本主義は幸福をもたらしていないかもしれないかと言って民主主義や社会主義が幸福をもたらすかは未知数であると考える